ブランディング

ストーリーブランディングとは?

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企業や組織が、顧客にとっての価値を高める取り組みのことを「ブランディング」といいます。この「ブランディング」に有効な手段として、自社や商品の「ストーリー(物語)」を活用した「ストーリーブランディング」という手法があります。「ストーリー(物語)」が持つ、人の心を動かす力で自社の価値を高めていく手法です。

では、「ストーリー」とは具体的にどういうものなのでしょうか?
また、なぜ「ストーリー」が「ブランディング」に有効なのでしょうか?

『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』(川上 徹也 著)より、「ストーリー」や「ストーリーブランディング」とはどのようなものなのか、そしてその有用性についてご紹介いたします。

ストーリーの定義

本書(『価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ』(川上 徹也 著))のプロローグ的な位置付けになる拙著『仕事はストーリーで動かそう』の中で、ビジネスやマーケティングにおける「ストーリー」の定義を、“生活者、取引先、社員などに対して語ることで、聞き手の想像力を刺激し共感を呼ぶ、フィクションではない、個人・商品・お店・企業などにまつわるエピソードやビジョン” としました。しかしこれだけでは、ちょっとわかりにくいかもしれません。なので、こんなたとえで理解していただこうと思います。

3つのリンゴ

リンゴがA、B、Cの3つ置いてあるとします。あなたは「どれかひとつ好きなリンゴ選んでください」と言われました。それぞれのリンゴに何の説明もありません。だとしたら、リンゴに詳しい人以外は普通は見た目のよさとかで選んでしまいますよね。ところが、それぞれのリンゴにこんな説明が書いてあったらどうでしょう?

A どこにでもあるごく一般的な農法で育てたリンゴです。
B まわりの葉を取らずに栽培し、果実に十分な栄養をいきわたらせたリンゴです。そうすると見た目は少し悪くなりますが、断然甘くおいしくなるのです。
C 「奇跡のりんご」でおなじみの木村秋則さんがつくったリンゴです。木村さんは絶対に不可能と言われていたリンゴの無農薬無肥料栽培を、8年の歳月をかけ長年の極貧生活と周囲からの孤立を乗り越えて、試行錯誤の末にようやく実現しました。

答えはかなり変わってきたと思います。天の邪鬼でAなんて言う人もいるかもしれませんが、多くの人はCを選んだのではないでしょうか? 続いてBですよね。

それはなぜでしょう?

Cのリンゴのストーリー性

よく読んでいただければわかりますが、Cのリンゴは品質について何も語っていません。味がおいしいかどうかもわからないのです。

なのに、一番食べてみたいなと思うのはC。ここでは、価格のことは触れていませんが、おそらくCのリンゴは、AやBの何倍のお金を出しても食べたいという人は多いでしょう。Cには心を動かされるストーリーがあるからです。おいしいおいしくないということを超越して、あの木村秋則さんがつくったリンゴだったら、どんな味なのだろう、ぜひ食べてみたいと思うのが人間なのです。

ビジネスにおけるストーリーは〝個人・商品・お店・企業などにまつわるエピソードやビジョン〟と書きました。

そういう意味では、Bのリンゴにもちゃんとしたストーリーはあります。これだってAに比べれば、断絶強い。でもCと比較すると、負けてしまいます。

なぜでしょう?

Cのエピソードが、ストーリーの黄金律にかなっているからです。

ストーリーの黄金律

ストーリーの黄金律とは、ハリウッド映画をはじめとするエンターテインメントの世界で使われている、感動を呼ぶのに必要な3つの要素のことです。

1何かが欠落しているまたは欠落させられた主人公が、
2何としてもやり遂げようとする遠く険しい目標やゴールに向かって
3数多くの葛藤、障害、敵対するものを乗り越えていく

この3要素が含まれていると、人はそのストーリーに心を動かされてしまうことが多いのです。いわば、人類共通の感動のツボ。

Cのリンゴが一番食べたいと思ったあなたは、その感動のツボを無意識に押されていた可能性が高いのです。

ストーリーがブランディングに有効な理由

ビジネスでストーリーを使うことのメリットは、このように人の感情を動かすことができるという点です。

他にも、「興味をもってもらえる」「記憶に残る」「オンリーワンになれる」「失敗を語ることでより深い共感を得られる」「ファンになってもらえる」「人に伝えたくなる」などの多くのメリットがあります。

「口コミ」にも効果的なストーリーブランディング

たとえば、「口コミ」していくということで考えてみましょう。

あなたがCのリンゴを本当に食べたとします。おいしくても、そう感じなくても、「奇跡のリンゴ」を食べたことを人に伝えたくなるのではないでしょうか?

もちろん、Bのリンゴでも実際に食べておいしければ、口コミするかもしれません。ただし、人に説明するのにちょっと時間がかかりますね。「奇跡のリンゴ」のようには素早く伝わらない。

では、Aのリンゴであればどうでしょう。たとえおしいく感じても、わざわざ口コミするでしょうか? たとえ人に話したとしても、「昨日食べたリンゴがおいしくてね」「何か特別なリンゴ?」「いや普通のリンゴだけど」では、聞いた方は「ふーん」としか答えられず広まっていきません。そこに、何のストーリーもないからです。

このように、あなたの商品、会社、お店などにストーリーがあると、色々なメリットを受けることができるのです。さらにそれがストーリーの黄金律にそっていると、より強い支持を受けることができる可能性が高くなります。

Cのリンゴのように、その商品にまつわるストーリーによって人の心をきつけ、顧客にとっての価値を高める手法のことを「ストーリーブランディング」と呼びます。

この記事でご紹介したストーリーの黄金律を活用することで、顧客の興味や共感を獲得し、効果的な「ストーリーブランディング」を行っていきましょう。

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