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出版とビジネス書を巡る、よもやま話 第五回

Hands of a person writing on a notepad

斜陽といわれている出版業界。
この業界は、この20年変わり続けてきました。
特にビジネス書は、激変したといっていいほどです。

出版は何が変わったのか?それは何が原因なのか?
この激動の20年を編集者、著者として第一線で活躍し続けてきた、
弊社グループ編集長の川辺秀美にゆるりと聞きました。

前回は、川辺の新しい挑戦である企業出版についてでした。今回もその続きです。

川辺秀美(かわべ・ひでみ)

編集者・作家。クロスメディア・パブリッシング所属
1968年横浜市生まれ。立教大学文学部ドイツ文学科卒業。高野山大学大学院修士課程密教学中途退学。就職情報会社を経て、出版社へ。ビジネス書版元書籍編集長を経て独立。独立後は、コンサルティング、教材開発、講師、作家として活動。2013年以降は新聞社、出版社に所属して活動中。専門は、国語力、読書術、編集術、メディア開発、仏教。

編集作・著作

 

出版とビジネス書を巡る、よもやま話

編集者は見た目が9割?

―川辺さん、長いこと商業出版をやってきてて、クロスメディアに来てから初めて企業出版を担当しましたよね。実際、やってみてどういう感想だったんですか。

※企業出版とは、企業のマーケティング・ブランディングのために行う書籍の出版のこと。詳しくは、こちら

川辺 実際やってみて、やっぱり奥が深いなと思う。クライアントごとに要望が全然違うから、常に求められることが違うんだよね。自分のやってることが通用しないことが結構あるし。商業出版だと、著者と友達みたいになっちゃうんですよ。だから著者のビジネスをあんまり知らないこともある。だから、商業出版って仕事やってる感があんまりないんだよね。そういう意味では大変さが違うというか、プレッシャーが違いますね。商業出版は、本が売れるか売れないかのプレッシャーだけど、企業出版は顧客満足に対するプレッシャーだね。

―求められることが違うんですね。

川辺 仕事のやり方も会社によって違うしね。クライアントごとにいろんな能力を問われるから大変だけど、自分自身を変革させて、新しいスキルを身に付けなければならない。今までの編集者のスキルにプラスして、コンサルタントやコミュニケーターとしての能力も問われるので、より総合的な力を高める必要があります。

―本だけ作ればいいってもんじゃないんですね。

川辺 クライアントからは一人のビジネスパーソンと見られています。服装など見た目も含めて、いろいろ見られてるので、難しい仕事です。

本づくりの実際、アジャイル方式も取り入れる?

―実際、本づくりの段階になって気づく、業界の違いとかってあるんですか?

川辺 最近発見があったのは、IT業界。仕事の仕方そのものから全く違う。本づくりの場合、目次を作って全体を決めてから取材をするでしょ。でも、ITの会社から見たら、その仕事のやり方はウォーターフォール型の仕事の進め方に見えるんです。

―なんですか、ウォーターフォール型って?

川辺 まず計画を立てて、設計してプログラミングをしてというように、上流から一つひとつの仕事をしていくやり方なんだよ。滝のように上から下へ流れてるからウォーターフォール型開発。

―ああ、たしかに書籍制作はそういう流れですね。

川辺 そうなんだよ。でもITの人たちからすると古いやり方だから、アジャイル型開発でやりましょう! って提案されると今までの本づくりとは全く違ってくるよね。

―アジャイル型開発……?

川辺 アジャイル型開発はアメーバ経営とかに近い気がします。なるべく小さな単位にして、それを一つひとつクリアしていくイメージかな。ただし、それを書籍制作でやるのは人員的にも物理的にも無理があります。

― 実際にアジャイル型開発を取り入れてやっている事例はあるのですか?

川辺 アジャイル型開発っぽい、という意味ではあります。目次制作はせずに、全体のアウトラインを決めて、徐々にコンテンツを深化させていくという方式のものはいくつかあります。また、目次はあるけど、すべてそれをコンテンツ化するのではなく、重要度の高い順から形づくり、コンセプトの核を固めていく、という方法をとっているものもあります。

― 書籍制作は奥が深いですね。制作方法を変えることによって、新しいコンテンツを生みだすのが出版社の役割だということが、よくわかりました。
今日はお話をお伺いして、改めて「本」について勉強になりました。ありがとうございました。

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